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小林古径
杪秋
1951(昭和26)年 紙本彩色・軸装 35.2×47.7cm

厳しい線描が特徴の古径ですが、ここでははっきりとした線は画面右の猫にのみ施されています。柿の葉や実は黄色や橙色、茶色などの鮮やかな色面でリズミカルに捉えられ、画面を華やかに飾り立てています。それらの描写に写実性はなく、よく見ると枝から離れてさえいます。しかし、はらはら落ちる葉はその重さまでをも感じさせるかのようであり、単なる写実的描写から離れて平面的リズムによって独自のリアリズムに到達しています。地面は色面を暈して描かれており、琳派や大和絵などの影響に基づく伝統的な空間描写を見ることができます。