08安井曽太郎-緑の風景-1955m

安井曽太郎 
緑の風景
1955(昭和30)年 油彩・カンヴァス 32.0×40.0cm

1949(昭和24)年春、安井曽太郎は神奈川県湯河原町に移り住み、庭先に見える城山を繰り返し描きました。安井はこの風景を青年時代のフランス留学で多大な感銘を受けたセザンヌを重ね見たようです。安井自身、次のように述べています。「湯河原の新畫室からは、僕の好きな山がすこしばかり見える。その山の形は、ブリジストン美術館にあるセザンヌのサント・ビクトワール山に一寸似ている。仲々いい山である」(『文藝春秋』昭和30年6月號、1955年)。

晩年の安井は、自らが魅了された城山を幾つも描きました。本作は緑美しい季節に描かれた作品です。大胆な色面と太い輪郭線など「安井様式」とも呼ばれる自らのスタイルによって、その風景がシンプルに力強く描き出されています。